60年代のオーディオ5(年金フル世代の子供の頃)
8月 25, 2018
60年代のオーディオも連載5回目となる今回はスピーカーを取り上げる。ヘッドホンを別にすればオーディオ機器として実際に我々が音楽を聴くためにはスピーカーが無いと始まらない。しかし、このスピーカーと言うのは電気機器というよりは振動するメカだから、大きく、重く、高価になるのは仕方なく、特に夢の高級セットは馬鹿デカイのが定番だった。
それで60年代のマニアに人気のスピーカーと言えば、先ずは英国グッドマン(GOODMANS) のAXIOM301という口径30㎝のフルレンジスピーカーで、これはユニットのみが当時2.5万円くらいで販売されていて、純正のスピーカーボックスもあったが、秋葉原の専門店には国産のAXIOM301用が結構売られていた。実はこのスピーカーこそ私自身が高校時代に必死でアルバイトして貯めた金で買ったモノだった。このスピーカーの特徴は取りあえずフルレンジとして使用して、後に専用のツイーター (高音用) 、そしてスコーカー(中音用)と追加すれば良いようになっているのも売れた理由だろう。
グッドマンのスピーカーボックスと言えば結構大きくて背面のコーナーを落として部屋の隅に於けるようなデザインの英国製のAMIOM 80 SYSTEM をパクッタモノが多く、当時買ったのもその手であり、大きさは概ね幅50㎝x高さ110㎝ くらいだったから、家庭用としては随分と大きかった。これをラックスのSQ505(60年代のオーディオ2参照)と組み合せたのだが、最初は感動したモノの、少し経つと高音不足が気になってきた。そこでツイーターを追加したのだが純正品を買う予算は無く、そこでこれまた当時ベストセラーだった松下の低価格ツイーター(2,000円くらい)を取りつけてみた。本当は低音と高音に分離するネットワークという機器が必要なのだが、コンデンサーでツイーターの高音をカットするだけで使用した。実はこれは当時の黄金の組み合わせであり、最小限の投資で最高の音が出る(筈の)ものだった。
他に当時の定番といえば三菱の16cm フルレンジモニタースピーカー P-610 があり、これは本来専用のボックスに入って NHK に納められたもので、そのユニット部分がP-610だった。モニタースピーカーといえば高価なものを想像するが P-610 はラジオ放送の音声など文字通りのモニター用であり、家庭のラジオなどで聴いた状態をチェックするものと思えば納得出来るし、価格も当時なら1,700円とリーズナブルだった。そして当時のマニア向けにこれまた秋葉原には多くのP-610用ボックスが販売されていた。実は当時、このP-610もサブとして購入したことがあるが、問題は結構アンプを選ぶ事だった。この詳細は何時か機会があったら詳しく述べたいと思っている。
三菱のモニターといえばもっと本格的なスタジオモニターもあり、その代表が1959~1992年というロングセラーだった2S-305で、これは天下の NHK 御用達と言う事もあり、一部のマニアの間では絶賛されていて、英米が主流だった高音質スピーカーの中では国産として頑張っていたのだった。価格は一般向けに販売が開始された1962年で56,000円であり、勿論ステレオなら×2となり、当時の国産スピーカーとしては高価だった。
さて、スピーカーについてはとても1回では網羅出来ないので、この続きは
⇒60年代のオーディオ6
にて
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