60年代のオーディオ7(年金フル世代の子供の頃)

前回の60年代のオーディオ6ではマニア垂涎の数十万円クラスのスピーカーを取り上げたが、今回はもう少し安い価格帯を纏めてみる。

まず60年代の後半になってからの主流となったのはスピーカーユニットのサイズの割には外寸が小さい、当時ブックシェルフ型と呼ばれたタイプだった。このタイプのルーツはAcoustic Research 社で同社が 1954年に発売した AR-3 で、その後 1966年に発売されてた改良モデルの AR-3a で不動の地位を確保した。AR-3a の外寸は幅356x高さ635x奥行292mm で、その比較的小さい箱の中に低域には30cmのハイコンプライアンスコーン型ウーファー、中域には3.5cmドーム型、高域には2cmのドーム型ユニットというマジな3ウェイシステムが組込まれていた。従来なら 30㎝ ウーハーを組み込んだ3ウェイシステムなんて、結構な大きさで床に据え置くタイプだったから、それに比べて AR-3 の小さい事は驚異的だった。

しかしこの AR-3a 、というかブックシェルフタイプに共通の欠点として効率が悪い事が挙げられる。スピーカーの効率というのは1Wのアンプ出力を 1m の距離で聴いてどのくらいの音量が出るかという事で表し、単位には dB/W/m となる。それで例えば前回の大型スピーカーでアルテック A7 の場合は概ね 100dB/W/m くらいで、これは JBL オリンパス等も同様だ。これに対して AR-3a では86dB/W/m という低さで、その差14dB と言う事は電力としては約25倍も必要となり、A7 なら10W のアンプで充分な余裕があるところを、AR-3a で同等の余裕を得るにはアンプ出力は250W という大出力が必要となる。

AR-3a の価格は66年当時で162,000円(1本) と可也高価だったが、それ以上にこのスピーカーを余裕で鳴らす為には200W級のアンプが必要となり、このクラスのアンプは決して安く無い。

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それでは当時の国産スピーカーは如何だったかというと、スピーカーの実績がある三菱ダイヤトーンでは1968年にDS-21C (31,000円) という小型スピーカーを発売したが、そのサイズは幅390x高さ550x奥行295mm と AR-3a よりは一回り小さいものの、AR-3a が30㎝ ウーハーを中心とした3ウェイユニットを組み込んでいたのに比べて、DS-21C は20㎝ウーファーと 5㎝コーンツイータの2ウェイだから性能的にはマルで相手にならなかった。尤も価格が5分の1だから、まあ多くを望んではいけないが。

他に国産スピーカーといえばヤマハが思い浮かぶが、売れ筋のNS-690/670 は1972年であり、60年代はNS-20とう壁掛けタイプで未だ発展途中だったし、他メーカーも含めて国産ブックシェルフスピーカーのブームとなったのも 70年代だった。

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