60年代のモデルガン(年金フル世代の子供の頃)

日本は世界で最も銃規制の厳しい国であり、民間人が拳銃を持つ事は禁止されている。尤も厳密に言えば特別の条件を満たせば所持できるのだが、それは国際級のピストル射撃選手になる必要があり、これは例外中の例外だ。

そうは言ってもガキ(男の子)の多くは戦争映画とか西部劇とかを通じで銃の知識を持つと、今度は本物でなくとも似たようなモノが欲しくなる。そこで登場するのがモデルガンで、要するに銃の外観や機構を模したもので、1962年にMGCより発売された。

本体は亜鉛合金製だから強度は無いが重量は充分にあり、表面は所謂黒染めで本物 (とは違うが)のように黒く光っていた。前述のように戦後の日本では一般人が拳銃を所持するどころか、見る機会さえ無い状況だったから、このモデルガンは本物と間違えられる事請け合いだった。

それでモデルガンファンには傾向があって軍用ファン、西部劇ファン、スパイ映画ファンと大きく3つに分けられ、それによって購入する機種も変わっていった。最初に軍用ファンの場合は米軍の正式拳銃であったコルト ガバメントという大型のオートマチックピストルが人気で、その他ではドイツのワルサーやルガ―などが発売されていた。ガバーメントはオートマチック方式なので、弾丸を発射するとその反動で游底が後方にスライドしカラ薬きょうの排出と撃鉄を起こし、戻る時に弾創から次に弾を引っかけて装填する、と書くと判り辛いが、まあ詳細を知りたい読者の為にウィキペディアの解説へのリンクを貼っておく。なおガバメントの方式は正式にはショートリコイルという。

次の西部劇ファンの場合は、もう問答無用でコルトのSAA (シングルアクションアーミー) で、映画でガンマンが腰のホルスターに吊っているのがそれで、決闘シーンでは早打ちを競うという例のヤツだ。厳密にはSAAは軍用モデルであり、民間用は通称シビリアンモデルといわれたモノだが基本的には変わらず、回転式で毎回指で撃鉄を起こしてから引き金を引く事が必要なシングルアクション方式だった。

WPPhto180917-2.jpg

最後のスパイ映画ファンの一番人気は007シリーズで、ジェームスボンドが使用しているワルサ― PPKというかなり小型のオートマッチク拳銃で、スパイにはピッタリだ。ただし前述のガバーメントが45口径だったのに対して、こちらは22~38と小さいから当然威力は劣るが、勿論モデルガンでは関係無い。まあそれ以上にガキ (といっても中・高校生だが)にとってはガバーメントは大き過ぎたから、寧ろ PPK くらいが丁度良かった。

英国の007に対抗して作った米国のスパイ映画が「0011 ナポレオンソロ」で、こちらは主としてテレビ映画として日本でも放送されていたから、むしろ当時のガキ共には馴染みが深いくらいだ。そのソロが所属する組織が U.N.C.L.E.(アンクル)で劇中に出てくる秘密兵器の一つが通称「アンクルカービン」と言われた、ドイツの軍用拳銃ワルサ― P38を元にロングバレルや消音器、ストックにスコープ等を取りつける組み立て式の狙撃銃で、実際には成立しないのだが、劇中のフィクションとしては面白かったし、何よりもモデルガンとして遊ぶには最適だったかもしれない。

WPPhto180917-1.jpg

それで当時のモデルガンの価格はというと、前述のMGC製では大きさの小さいワルサーPPKが2,500円くらいだった記憶がある。これがより大型のガバーメント等になると4,000円近かったと思う。これは当時の高校生からしても決して安くは無いから、代金を貯めるまでは昼食代や学用品代を誤魔化して何カ月も掛ったものだった。それで最初に買ったのがガバーメントで、土曜日の学校の帰りにアメ横に行って、MGCの直販店であるボンドショップで買った日の帰り道は何と幸せだった事!

コメントを残す