鉄道模型(年金フル世代の子供の頃)
10月 30, 2018男の子というのは先天的に乗り物とか兵器とかが好きなのが普通で、勿論本物は持てないので多くは模型などに頼る事になる。さて乗り物と言っても色々あるが、今回取り上げるのは鉄道模型で、この分野は比較的大人しいというか何故か真面目系の子供が多い。勿論中には戦車も機関銃も好きだし鉄道模型も大好きという場合もあるが、一般に中学生くらいになるとどちらかに分かれて行くものだ。まあその話題は別の機会に譲るとして、今回の鉄道模型は勿論1950年代末から1960年代初期の状況を思い出して見る。
鉄道模型にはスケール(縮尺)から幾つかの種類があり、当時メジャーだったのはOゲージ(オ―ゲージ)と呼ばれる縮尺1/45、軌間(レール幅)32㎜ のものだった。このOゲージに対して当時もう一つのメジャーなスケールはHOゲージで、これは1/87とOゲージの半分くらいという小さい車両となるが、実は20m級の客車の場合1/45では長さが444MMという大きさで家庭では大き過ぎて現実的で無いが、HOゲージならば230㎜だから何とかなる。
この為にHOゲージは実物に近いスケールモデルが多いが、Oゲージでは長さを半分くらいにするなどデフォルメした物が主流だった。では何故初期にはこの0ゲージが主流だったかといえば、HOゲージは日本の場合軌間12㎜と狭い為に畳みの上に仮設で線路を敷くと真っ直ぐに成らずにマトモに走らす事が難しかった事がある。そしてもう一つはHOゲージは高価で精密なモデルが多くて、とてもではないが一般家庭では小学生が玩具に使う事は難しかったという事もあった。
そんな理由により、Oゲージの機関車は本物が6輪(F)でも模型としては2輪(B)とするのが普通で、当時の0ゲージ機関車で一番メジャーだった下の写真のモデルは、本物はEF58という動輪8軸の超大な機関車なのだが、Oゲージでは動輪を2軸にして全長を半分以下にしたEB58としているのだった。
そんな訳で、客車等も本物とはマルで違う短いものだったが、貨車の場合は2軸なら本物に近いスケール感はあった。したがってHOゲージのような電車もOゲージではデカ過ぎて成立しなかった。
0ゲージの機関車を走らせるには先ず線路が必要だが、0ゲージの特徴として線路は3線式で、給電は両端のレールと中央のレールから行うという独特の方式だった。という事は、この面でもリアルさに欠けるのだった。
そして運転には専用のトランスを使い、これは家庭用の100Vから最大20V位に電圧を下げてレールに供給するもので、トランスの上部にはレバーが付いていて、これがずらり並んだタップのどれかと接触する事で電圧を変えて、速度を調整するのだった。しかし最初の1~3ステップでは機関車の駆動系の抵抗が大き過ぎて、モーターがウーンと唸っているだけで発進せず、有る程度上げたところでガツンっと発進する。まあ当時の列車も決して発進はスムースでは無かったから、これはある面リアルだったかもしれない。
Oゲージの機関車は車体の中の交流モーターの出力軸をウォームギアで車軸を駆動するために、これまが効率は悪いし音もうるさかった。まあこれも言ってみれば旧式の吊り掛けモーターを使った本物に近いといば言えない事も無かった。
Oゲージの価格が手頃だったとはいえ、これを小学生で買ってもらうのは中流家庭であり、ではHOゲージはといば上流階級のお坊ちゃまか大人の鉄道マニアが自らの為に買うものだった。因みに下の写真はHOゲージのEF58で、OゲージのEB58と比べて、その本物感の違いに唖然とする。しかもレールだってリアルだ。
なお現在ではHOゲージよりも更に小さいNゲージが主流であり、小さいといっても現代の高度な技術で作られるので極めて精密だし、価格も比較的安い。まあこれは技術の進化だろう。