専門職大学は既に失敗との噂あり
5月 15, 2019
前回は専門職大学の概要と若干の意見を述べたが、今回はもっと深く掘り下げてみる。
先ずは大学の申請の現状についてだが、2019年4月に開設されるのは
国際ファッション専門職大学(国際ファッション学部)
高知リハビリテーション専門職大学(リハビリテーション学部)
ヤマザキ動物看護専門職短期大学(動物トータルケア学科)
の3校だけ。
実は2020年度開設予定の設置許可申請は昨年10月末までだったが、その時は公立2校、私立18校の合計20校が申請をしていた。ところが実際に許可されたのは上記の僅か1校(高知リハビリテーション専門職大学)だったが、その後2校が付帯事項付きで可と答申された。
それにしても中々厳しい審査結果となっている。そして認められなかった理由は文科省の「専門職大学等の審査結果について」によると
・専門職大学の特色である実習の内容、評価基準、実施体制が十分検討されていない
・優れた実務上の業績がない者が実務家の教授等として申請されている
・実践的かつ創造的な専門職業人材の専門性の支えとなるべき理論の教育が不足
・教育課程や教員組織、施設・設備等の面で、専門職大学制度の特色を活用してその社会的使命を十分に果たす適切な設置計画としては認められない
・申請に必要な書類が十分作成されていない
などで、多くの申請案件において制度創設初年度であるものの総じて準備不足で法人として大学設置に取り組む体制が不十分と感じられた。
等であり、まあハッキリ言ってとても大学なんていう代物ではなかったようだ。
こんなの許可したらマトモな実習は出来ないし、教える教員も怪しげな人材が教授とかになっていたり、マトモな設備が無かったり‥‥何て言う事が想像できる。その面ではマトモに審査したようで、加計学園みたいに忖度されたところは無かったようだ。
しかし昨年秋頃には多くの申請中の法人が「来年4月開校」とか言って宣伝を出していたが、これらの目論見は外れた訳だ。専門職大学は55年ぶりの大学制度の改変という大きな出来事だったが、その内情は専修学校経営者達の悲願を自民党が取り上げたのが本音であり、だから申請となるとこれら専修学校経営者達が安易に申請したのだろう。
元来、2年制の専門学校は大学入学からこぼれた高校生相手に始めたのだが、その社会的地位は低く、それを打開する為に専修学校という制度を作って、卒業者には”専門士”という称号迄作ったのだが、大卒の”学士”自体が既に有名無実の現状では何の役にも立たないのは当然だった。そこで今度は専門職大学として大学の一角に入り込もうというのが今回の目論見だと思う。
しかし大学となるとそうは甘く無かったようだ。それでこの制度、一体どうなるかと言えば‥‥もう既に失敗が目に見えている。失敗といえば法科大学院を思い出すが、あれは名だたる私立大学が挙って参入したにも関わらずにあの結果だから、ましてや今回の専門職大学何て成功する訳が無い、と言い切ってしまおう。
⇒その後、専門職大学ってどうなった?
こちらは2020年11月現在の状況だ。