デジタル通貨導入を急ぐ中国 ライバルのリブラの先を越すのか?

12月 10, 2019 0 投稿者: B_Otaku

時事通信が7日伝えたところによると
『中国が、インターネット上でやりとりされるデジタル通貨の導入を急いでいる。実現すれば、中央銀行の発行する法定通貨では世界初となる。経済大国である中国の「デジタル元」は、世界経済の勢力図に影響を与える可能性もある。』

では一体いつから実施するのかだが、一部では今年末からとの噂もあり、既に暗号法という法律が成立して来年1月より施行されるなど準備は整いつつある。えっ暗号法って、中国に法律なんてあったの?中国共産党が良しと言えば何でもアリなんじゃないのか?

なおデジタル通貨と表現されているが要するに仮想通貨とか暗号通貨とも呼ばれているもので、これについては「IoT、AI、ブロックチェーン 後編」にて。

さて中国が何故にデジタル通貨を導入するのかと言えば、これにより国内の金の流れを全て中国共産党が監視する事が出来るし、中長期的には人民元を国際化しドル覇権に対抗するという思惑もあるだろう。

また途上国への援助もデジタル人民元で行えば、これらの国も使わざるを得なくなり、中国が主導する巨大経済圏構想である「一帯一路」の推進にもつなげるという目論見もありそうだ。そしてリブラに対抗してより早く立ち上げたいのが妙に急いでいる理由のようだ。

さてそれではライバルのリブラとは‥‥一言で言えばフェイスブックが展開しようとしている暗号通貨であり、2020年に米ドル等の法定通貨と連動する暗号資産であるステーブルコインとして提供される予定だ。ステーブルコインとは、例えば米ドル担保型では発行元がステーブルコインと同量の米ドルを準備金として補完し、規定のレートで米ドルと交換が可能で、これによりビットコインのように価格が大きく上下する事も無く、安定性が極めて高いというメリットがある。

ところがFacebookといえばGoogleAppleAmazonと共にGAFAを構成する世界IT界の四天王の一つであり、こんな強力な組織が国境を越えて世界中で展開されたら、それはもう世界の通貨制度が変わってしまうから、当然ながら猛烈な反対や妨害もあり、世界の中央銀行が簡単に容認するとは考えられない。

そんな状況での中国の早期導入だが、実はFacebook以外にもGoogleとAmazonがステーブルコインへの参入を進めているし、この戦いはこれからより激しくなるだろう。

およそ300年程続いた中央銀行制度も遂に変革の時が近づいているのは間違いない。そして新しい世の中は‥‥理想のユートピアか最悪の奴隷社会か? 何れにしても当分は激しい世の中の動きを目のあたりにするだろう。