佐川急便など宅配向けに中国製EV導入は成功するか?【後編】

2月 1, 2022 0 投稿者: B_Otaku

 

前回のSBSホールディングスに続いて今回は佐川急便だが、こちらは既に2021年4月にEV事業のベンチャーである「ASF」と小型電気自動車の共同開発を開始する基本合意を締結した、と発表している。

そのASFとは、発表されている事業内容を見ると
電気自動車の企画、開発、製造及び販売
バッテリーリース事業
上記に附帯又は関連する一切の業務
と、なっているから、業務はEV関連のみのようだ。

主要株主は
双日株式会社
コスモ石油マーケティング株式会社
SBIグループ
と言う事で、商社と何故か石油会社が資本を出している。

EVを供給するASFは、自社で工場を持たないファブレス生産のEVメーカーと自称しているが、半導体ならともかく、自動車のファブレスっていうのは何やら違和感がある。ぶっちゃけ中国メーカーからのOEM販売と思った方が良さそうだ。

というのは、半導体ならNVIDIAのように設計は自社で行い、生産はTSMCに委託するというファブレス企業が多いが、自動車となるとそうはいかない。自動車メーカーは生産設備は当然だが、その試験の為に台上試験機の並んだ大きな建屋や、1周が数キロメートル以上ある楕円形の高速テストコースなどが必要となり、ASFにそんな設備がある筈も無い。

まあ、それはそれとして、生産は中国の広西汽車集団で行うというから、要するに広西汽車からOEM供給を受ける、という事になる。

その広西汽車集団とは広西チワン族自治区柳州市に本社を置く中共の国有企業で、傘下に五菱汽車集団を持ち、各種の車輛を発売しているようだが、今回のEV軽トラックのベースらしき車両は無いから、新設計となるのだろう。

ASFではHPで佐川向けのEVを公開している。これを元にこの車両を纏めたものを試乗記本篇日記で纏めてある。
2022/1/29 (Sat) 中国製小型商用EV <2>

詳細は上記を参照願うとして、サイズは完全に日本の軽自動車規格に合わせてあり、スズキ エブリイなどの軽ワンボックスバンと同一カテゴリ―となっている。

では価格は如何なのかというと、実はこのクルマは販売するのではなく、佐川急便へリースされる形になり販売価格は判らないのだが、一説によると200万円とも言われている。

これが高いか安いかだが、スズキ エブリイは 100万円を切るモデルもあるくらいだから、イニシャルコストでは勝負にならないだろう。それでは何のメリットがあるのかと言えば‥‥う~ん、世間の流れ、すなわちDSによる地球環境詐欺に騙されている無知な民衆に攻撃されない為の予防処置、という事か。

そして、このような話題が出ると、今や中国製EVの完成度や低価格に日本のメーカーが太刀打ちできない、とか言う話で、いやまあ、お目出度い人たちだ。

実際トヨタはハイブリッドから始まって、電気モーターで走る車に対するノウハウはダントツ世界一であり、昨年、一気に17車種の BEV車 を発表した。
2021/12/16 (Thu) TOYOTAのBEV戦略

その中に短距離の集配をターゲットとしたMicro Boxというモデルがあり、これが正に今回の佐川の用途にドンピシャとなるものだ。

まあ、発売時期は不明だし、価格もそれなりに高くなるだろうが、信頼性など長い目で見れば怪しい中国のパチものよりも遥かに良い買い物だとは思う。

中国ではないが、ヤマトがドイツのメーカーから似たような EV を購入して、結果的に大失敗を演じている。
宅配向け専用EV導入は既にヤマトが導入して失敗していた

では、今回のベンチャー企業 ASF は如何かと言えば‥‥う~ん、言って良いのか悪いのか判らないが、個人的にはどう考えても失敗するだろう。

元々、自動車技術が低くてエンジンが製造できない中共が、エンジンの必要無いBEVなら勝てると勘違いして突っ走った事が、DSの環境詐欺と上手くマッチしたのだが、サスペンションやブレーキは如何するのか? まあ、何とかそれらしきものは出来るようだが、問題は緊急時の性能であり、こういう面では日本車だってやっとの事で最近、ドイツのトップメーカーに近付く事が出来たくらいだ。

油断は禁物だが、結構楽観していても大丈夫とは思う。

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