観光バス横転事故で専門家の意見が・・・

10月 15, 2022 0 投稿者: B_Otaku

 

静岡県小山町の県道で13日、観光バスが横転して1人が死亡、35人が重軽傷を負った事故はテレビでも大きく報道されている。

一つの情報として、運転手がブレーキの効きが悪くなったとの供述があり、これはブレーキがフェードを起こしたのではないか、と言われている。フェードとはブレーキの使い過ぎで加熱してしまい、これにより効きが悪くなる現象だが、その原因は高温になったライニング(パッド)からガスが発生し、これが燃えてカーボンとなり、ドラム(ディスクローター)の表面に付着して摩擦係数が低下してしまう現象だ。

フェードしたブレーキはブレーキを使わずに走行して冷却してから、ブレーキを使用する事で、表面のカーボンが削れる事で回復する。これをフェードリカバリーと呼んで、ライニングやパッドの性能試験では重要な項目となっている。

さてこのフェードにより効きが悪くなった時の対処法として、テレビのコメンテーターはサイトブレーキを使う、何て言っている例があった。

サイドブレーキとはパーキングブレーキのことであり、大型の場合はプロペラシャフト上に専用のドラムブレーキを組込んでいる(センターブレーキ)が、小さいサイズで大きなブレーキ力を得る事と、パーキングブレーキの名の通りで静止時のブレーキ力を得れば良いので、走行時で使用すればブレーキが破壊される事も想定される。という事はコメンテーター氏の意見は…間違い!

この走行中にパーキングブレーキを使用した時の性能について、欧州では低速ではあるが、とにかくぶっ壊れても良いから一度止まれればOKという規定になっている。とはいえ、従来の日本の大型車は満足できない車も多く、これらはホイールブレーキにメカ式のスプリングチャンバーという装置が必要となっている。それなら、兎に角一回は止まれるじゃないか、と思うだろう。

ところが、話の前提がフェード時の緊急ブレーキと言うのなら、通常ブレーキを機械的に作動させるパーキングブレーキもフェードしているから結果は同じ事なのだった…残念っ!

次にエンジンブレーキについてだが、大型車は乗用車に比べて重量が一桁大きいからエンジンブレーキだけでは心もとないが、実は中型以上の自動車には排気ブレーキという装置が付いている。これは排気管をメカ的に閉じる事でエンジンの背圧が上がり、吸気側のみのエンジンブレーキに比べたらより大きな減速力が得られるものだ。

大型トラックが「ヴォーッ、シュポッ」という音を出して減速しているのを聞いた事があれば、それが排気ブレーキ作動中の音だ。大型車だったら当たり前の排気ブレーキに触れていないのもコメンテーター先生の大型車に対する無知さを表している、というものだ。

なお排気ブレーキは普通、ステアリングコラム上にスイッチがあって、降坂時などにオンにするが、平道ではオフとするのが原則だが、如何にも大型車というヴォーッ、シュポッ音の為に兄ちゃんたちは街中で使って粋がっているのだった(笑

なお、フェード現象の解説にディスクブレーキの図を使用していたが、これまた乗用車の知識だけで説明しているが、大型車のブレーキは十中八九はドラムブレーキだ。最大の理由はコストだが、パーキングブレーキを別に装着する事が必要になるなど、実用上の大きな問題もある。

とは言え、大型二種免許を所持しているドライバーがなら、初めて走行したコース云々と言ったって、排気ブレーキをうまく使って抑速することでフェードなんか起こすはずがないのだが、これも日本人の職人気質が喪失した事が原因とも思われる。

その原因は、戦後の教育が悪かった!原因は日教組だぁ!…なんてねっ(笑

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