クルマ試乗記の裏話5 【続・慣らし運転】

7月 25, 2023 0 投稿者: B_Otaku

 

前回はエンジンの慣らし運転について述べたが、エンジン以外のコンポーネント、特にトランスミッションやデファレンシャルギヤ、そしてサスペンションのダンパーなども新車時は当たりが付いていないから、この点でも慣らし運転が必要となる。

320iが納車され、そのスムースな6気筒エンジンに感動しながらも、足回りがやたら硬い、即ち心地が悪い事が意外だった。タイヤが標準よりも一サイズ大きいものをオプション装着しているとはいえ、やはり世間の常識からすれば硬い。まあ、良く言えばスポーティーなのだが、4ドアセダンとしてはちょっと意外な硬さだった。

操舵力は可成り軽く、しかも操舵特性は極めてクイックだから硬い乗り心地と共に、良く言えば極めてスポーティーな車という感じだった。ところが、走行距離が1000キロを過ぎた辺りから、ダンパーの当たりが付いたのか急に乗り心地が良くなった。これはある面残念な気もしたが、普段乗りのクルマとしては丁度良いかな、という気持ちだった。

当たりと言えば新車時、アクセルべダルの動きがギクシャクとしていて、微妙な操舵がやり辛いという問題もあった。これぁリンク機構にグリスでも塗るかな、と考えていたが、これも3000キロ程走行したらば極めてスムースになった。

という事で、国産車以上に慣らし運転が必要という事を肌で感じた瞬間だった。

320iでエンジン以上に感心したのは、ブレーキの効きの良さだった。踏力は極めて軽く、しかも喰いつくように効くフィーリングは国産車には無いものだ。大きな原因としては、パッド(摩擦材)の材質が国産車はアラミド繊維によるノンアスベストタイプであるのに対して、BMWはセミメタリック(セミメタ)という、金属(スチール)繊維を使用しているという大きな違いがある。

しかしセミメタの効きの良さの代償としては、ホイールが汚れる事とローターの減りが早い事がある。国産車にセミメタが使用されない理由としては、ホイール汚れはクレームとなるし、早い時期でのローター交換はこれまたクレームが出る可能性があるからだ。

ただし、これを逆手に取ったのがレクサスで、最初からカタログで欧州タイプの高性能パッド使用のために、欧州車と同様にホイールの汚れとローターに早期摩耗ある事をうたっていて、要するにベンツやビーエムと同じだからクレームをつけるなよ。そんな事を知らないユーザーはレクサスに乗る資格はないぞぉ~、というノリだった。

次回につづく。

.