クルマ試乗記の裏話10 【トヨタ アムラックス】
7月 31, 2023
当時池袋にトヨタが運営する展示ショールーム「アムラックス(AMLUX)」という施設があった。ここは地下3階 地上14階という立派なビル(正式名称は「トヨタ自動車池袋ビル」)で、地下2階・地上5階部分にアムラックス東京を開設していて、それ以外の上階にはトヨタのオフィスがあった。
1階から5階までの展示スペースには、トヨタの生産するほぼ全ての車種が展示されていて、殆どは自由に触ったり乗ったりする事が出来、写真撮影などにも極めて有用だった。ただし、最初の頃はデジカメを持っていたかった事から見て触るだけだったし、勿論試乗記自体も殆ど写真は無かった。
アムラックスで有用なのは地下2階にある試乗受付で、主な車を短時間のレンタカー扱いで試乗出来る事から、ディーラーでの試乗に比べて気軽に実施できるし、レンタカーだから当然営業マンが隣に乗る事も無い。
料金は1時間コースで1500円。他には90分コースというのもあり、慣れてきたらこちらを選ぶよになった。料金はハッキリ覚えていないが、2000円くらいだった気がする。
試乗コースは任意だが、おすすめコースというのがあって、下のコースなら充分な試乗が出来る。時間は1時間試乗だと交通の状況では厳しいので、安全の為に90分としていた。距離は約13キロメートルで、最初の部分は比較的道も狭く渋滞もあるのだが、帰りの道(太い線の部分)は片側2車線で、約5キロの直線だから一気に時間を詰めてしまう。
アムラックスでの初めての試乗はマークⅡ ブリット 2.5iR-Vというワゴンで、本当はクラウン マイルドハイブリッドに試乗したかったのだが、あいにくレンタル中のために、丁度空いていたこのクルマに乗ったのだった。まあ、言ってみれば人気がイマイチという事だ。
⇒トヨタ マークⅡ ブリット 2.5iR-V (2002/07/27)
マークⅡ ブリット はマークⅡのワゴンで、2.5iR-VというグレードはセダンのツアラーVに相当し、6気筒2.5L 280ps ターボエンジンを搭載している。ツアラーVはアンちゃん達の憧れの車種で、その中古車の人気は絶大であり、車高を下げてぶっといマフラーを付けて地面を擦りそうになりながらボーボーと下品な音を立てている、アレだ。
しかし、スペックの割には大した動力性能では無かったし、なにより曲ると止まるも低レベル。それでも当時340万円という価格は‥‥まあ、買うのは勝手だが。
次にアムラックスに行ったのは約1ヵ月後で、前回乗れなかったクラウン マイルドハイブリッドに乗る事ができた。
⇒トヨタ クラウン(旧) マイルドハイブリッド (2002/08/19)
ハイブリッドというのは名ばかりだが、公用車として使用するには如何にも環境に配慮しているように見せられるのが唯一の取柄、というクルマだった。
アムラックスでの試乗に味をしめた事で、数日後にまた訪れてしまった。この時は運良く、世界的に人気のレクサス LS,すなわち日本名セルシオに試乗できた。
⇒トヨタ セルシオ Cタイプ (2002/08/23)
流石に世界的に評価の高いクルマだけあって、クラウンなどとは次元が違うのだが、それでも日本車的なトロさは残っていた。とはいえ、メルセデスSクラスの半分以下の価格は大いに魅力があるし、そのメルセデスベンツが焦って方針を変えたというのも判る気がする。
なお、試乗記にオリジナルの写真を使用したのはこのモデルが最初だった。勿論アムラックスの展示スペースで撮影したものだ。
結局、その年は年末に再度アムラックスに行って、カローラのワゴンに試乗したのだが、こりゃ酷い代物で、唖然としたのだった。
⇒トヨタ カローラフィールダーG (2002/12/16)
アムラックスのお陰で、トヨタの新型車に心置きなく試乗できるのは有難い事だが、お陰で欧州車に比べて日本を代表するトヨタ車が如何に走りをないがしろにしているかが実感出来るという皮肉な結果となってしまったのだった。
なお、この年は10月にもう一台、話題の韓国車、ヒュンダイ XGに乗ってみたが、これについては二回にて。
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