日本のEVバス分野に中国製が進出しているって本当か?

2月 3, 2022 0 投稿者: B_Otaku

 

昨年12月末の産経新聞の報道で、京阪バスが京都市内を走る路線で電気バス4台の運行を始めたと伝え、このバスが中国のEV大手、BYD製であり、同社は日本で既に他にも実績があるという。

京阪バスが採用したのは、日本向けに開発したという小型バス「J6」で、下の写真のように関東鉄道でも採用されていた。

またBYD社の日本向けHPを見ると、J6は上記2社以外に福島県大熊町(1台)、ハウステンボス(10台)、東京都交通局(1台)への納入実績があった。

J6の室内は最近日本で多く使われいる日野自動車製の小型バス「ポンチョ」とほぼ同等であり、ポンチョの路線ではそのまま置き換える事ができそうだ。

加えてBYDのEVバスは小型バスのみならず、中型も大型も日本で採用されていた。中型は「K7」で、写真下のように会津乗合自動車に3台が納入されている。

そして大型は「K8」(10.5m)が阪急バス(2台)と「K9」(12m)が共同バス、富士急バス(3台)、沖縄シップスエージェンシー(12台)、プリンセスライン(7台)、岩手県交通、全日空、平和交通と結構実績があった。

室内は日本の大型バスと変わるところは無さそうだ。というよりも、日本仕様として日野やいすゞの通勤バスに準じた内装となっているのだろう。

実は前述した日野のポンチョバスは、日本でも裏道など小まめにバス路線網を拡充するあたって、欧州で使われているプジョーシトロエン製の小型バスのシャーシ―を輸入し、ボディは日野にて架装(初代ポンチョバス)して実際に運用してみた結果、小型バスの有用性が確認された事で、日野自動車が新規開発(2代目ポンチョバス)したものだ。

BYDのEVバスの国内参入については危機感を抱く論評も出て来ている。実はポンチョバスも2012年に試験的にEVバスを製造した事があるが、パワートレインの価格がネックとなり、1台のコストが8千万円という高額になってしまい、2台製造されたのみで中止となった。

BYD J6の価格は約2千万円と、ディーゼルエンジンのバスに比べて高価ではあるが、国産EVバスに比べれば圧倒的に安い。この安さの秘密はBYDが早くからEVバスの分野を手掛けた事もあるが、実は中共政府が政略的に補助金を出して低価格を実現している、という事実もある。

加えて、バスと言うのは自動車の中ではローテクの部類で、走行速度は遅いしコーナーリング云々も必要無く、サスペンションなどに凝る必要も無い。従って中国の技術でもまあ実用になる程度のものは出来るのだろう。

ところで、日野では近日中に「ポンチョZ EV」という小型EVバスを発売するという。

な~んだ、もうやってるんじゃないか‥‥と喜ぶのはチョイと早い。

実はこのポンチョZ EVはBYDからのOEM供給だった。

日野の親会社であるトヨタはEVバスの研究開発会社をBYDと合弁で設立している。日野としては取り敢えずはOEMで様子をみて、その後の方針を決めるのだろうが、既に2020年4月にBYDと商用EVの戦略的パートナーシップ契約を締結しており、10月には商用EV開発のため合弁会社の設立に合意、出資比率は日野とBYDが半々で、2021年内に中国で新会社設立を予定していたようだが、未だ実現はしていない。

と、まあ、トヨタと中共の関係は極めて深いから、バスよりもより市場の大きい乗用車の方が影響は大きく、今の中共の政治体制を考えればトヨタも相当に危ういのは間違い無く、バスなんていうのはその一部だ。

いや、もう、参ったねぇ。

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