４人殺害犯が使ったハーフライフルってなんだ？

長野県中野市で住民女性と警察官計４人が刃物や猟銃で殺害された事件で、犯人が使用した銃が「ハーフライフル」という報道がなされている。

ハーフライフル？

不覚ながら、初めて聞いたものだった。

勿論早速調べてみたが、その前にもう一度散弾銃の装弾について簡単に纏める。

なお、散弾については既に下記のブログで説明している。
⇒安倍元総理銃撃に使ったのは手製のショットガン？

ただし、この時は安倍氏銃撃とは関係の無いスラッグ弾については触れていなかった。スラッグ弾とは「一発弾」で、散弾銃を使用するが弾頭は一つであり非常に強力ではあるが、ライフルのように回転を与える事も殆ど無く、弾道は安定しない。

スラッグ弾を使用するのは大物猟、日本では鹿、イノシシ、熊であり、特にヒグマなどに使われている。

このスラッグ弾の欠点を解決すべく開発されたのが、装弾の規格は散弾と同様だが、銃身にはライフリング（螺旋）が刻まれた専用銃を使用するR.S.G.（Rifled Slug Gun)という方式が考えられた。

ところが、日本の法律では銃身にライフリングがあればライフル銃に分類されてしまう。実は日本ではライフル銃の所持は極めて厳しく、10年間の散弾銃所持実績を必要とする通称「10年縛り」という関門がある。

そこで、R.S.G.のライフリングを半分以下に削って「これはライフル銃じゃ無いもんねぇ」という折衷案を考え、法律で「散弾銃およびライフル銃以外の猟銃」として認める事にしたという事実を初めて知った。この辺の詳細は下記のサイトに詳しいので、詳細を知りたい読者は参照されたい。
⇒日本独自のヘンテコ銃『ハーフライフル』はなぜ生まれたのか？初心者ほどライフル銃を持つべき理由を解説

因みに、一つ補足すると、ライフル銃の所持が極めて厳しいのは長距離からの狙撃、即ち皇族や外国政府要人が暗殺される可能性があるからだ。散弾銃なら比較的短距離であり、射殺されるのは「平民」。という事は責任は所轄の署長クラスであり、県警本部長の引責辞任には至らないだろう。

ところが、外国要人が暗殺されたら‥‥これはもう、警察庁長官の責任、いや政権そのものが危うくなるから、その可能性のあるライフル銃の所持が極めて厳しいというのが理由だと思っている。すなわち、キャリアー警官の自己保身の結果だったのだ。

今回の容疑者が、初期の情報ではライフルを所持していると言われていたが、定職を持たないのにライフル銃の所持許可が出ているのは何となく不可解だったが、これで話が分かったというところだ。

写真下にハーフライフルを示すが、見た目ではライフル銃に見える。実は猟銃所持者の間には散弾銃＜ライフル銃というヒエラルキーがあるから、その解決策ともなるのだった。

結局、ハーフライフルとはライフル銃の十年縛りに咲いたあだ花だった。